■ 療養病床をめぐるこれまでの経緯
原因のひとつが「老人病院」の登場
‘84 「特定許可老人病棟」の導入
介護職員の配置 ⇒ 医療保険適用
‘93 「療養型病床群」の創設
診療報酬に定額制
‘97 「療養型病床群」の基盤整備促進と長期入院の是非
‘00 介護保険制度スタート
介護施設整備と在宅介護推進
‘01 「療養病床」として介護保険適用病床と医療保険適用
病床に過渡的に存置
国民医療費は2003年度に約31.5兆円に上り、高齢化の進展で老人医療費の国民医療費に占 める割合は4割近くにまでなっています。介護保険制度導入直前99年度の老人医療費対前年度 伸び率は、8.4%にのぼりました。
老人医療費膨張の原因の1つが「老人病院」です。医療技術の発達により、日本人は長生きに なりました。それは、高齢者が病気で倒れても直ちに死を意味しなくなりました。身体の自由が利 かなくなってから死亡に至るまでの月日が延びたのです。
症状があまり進行しなくなっても身体の自由が効かないので、そのような高齢者は自立して自 宅で暮らすことは難しいです。特別養護老人ホームは入居に何年も待たされます。退院したくても 行くところがない高齢者はそのまま病院に残るしかなく、検査や投薬で必要以上に診療報酬がか さみ、老人医療費は伸び続けました。
そこで、通称「老人病院」を84年「特例許可老人病棟」として介護職員を配置、93年「療養型病 床群」として、1ヶ月間の点滴や検査などを一定枠内に制限する定額制の診療報酬制度を取り入 れ、医療費がかさむのを止めようとしました。しかし、あまり効果はあがりませんでした。この2つ の制度も医療保険適用に変わりはなく、患者は急病人に近い治療を受けていました。
これらの制度改定を通じて、旧厚生省も高齢者医療の分野に介護という大きな問題があること に気づきました。90年、ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略)で医療から介護への移 行がスタートします。この移行の中で97年「医療保険制度改正法案における基本方針」では、「療 養型病床群」の基盤整備と長期入院の是正が取り上げられました。
2000年4月スタートの介護保険制度の目的のひとつは、「老人病院」患者が自宅で介護を受け るか、介護施設で介護を受けられるようにすることです。とはいっても、介護施設の数は不足、訪 問介護も充分な回数受けられる見通しはなく、いきなり全患者が自宅や介護施設に移ることは困 難でした。そこで、「療養型病床群」の一部を介護保険適用とし、「療養病床」として介護保険適用 と医療保険適用の二本建てで過渡的に存続させました。

